星景タイムラプスはじめました

撮影場所まで行くのに時間がかかり、撮影自体も時間がかかる、車での移動となり長時間の撮影で疲れた体には帰りがちょっと辛い、夜はちゃんと寝たい、といったこともあって、これまで星を撮るのは避けてきました。しかし、自分の想像力では、東京や横浜の都市景観は、これ以上撮りようがなさそうで、似たような絵にしかならないような感じになってきたので、撮影の幅を広げるためにも星景のタイムラプスをはじめることにしました。
北極星の探し方程度しか天文系の知識がなく、撮影経験もないので、まずは、撮影方法に関して色々ぐぐって調べるところから始めています。色々と情報が整理され、最も参考になったサイトは、LONELY SPECKでした。天の川の探し方お勧めレンズの紹介撮影時の露光時間の決め方撮影後の現像方法等、星景素人の自分に有益な情報が満載です。

この他、色々ググった情報を参考に撮影に向けて準備を行います。まずは、機材から。

レンズ
・F2.8ぐらいは明るさがあった方がいい。
・安くて明るいSamyang(Rokinon)が定番レンズらしい。
・星をできるだけ点像で撮影するために500ルール(500 rule)と呼ばれるものがあり、500を焦点距離で割ったものが、露光時間の上限とされる。つまり、広角の方が有利。
ということで、追加購入したレンズも含めて、星景撮影に使えそうなのは以下のレンズです。

Samyang 14mm F2.8
購入済みだったが、フィルターが使えないため、これまであまり出番なし。Nikonマウント用をマウントアダプターを使ってa7RIIで使用。

Irix 15mm F2.4
K-1用に購入済み。マウントアダプターを使ってa7RIIでも使用可能。無限遠に合わせるのが容易なのが便利。

Samyang 12mm F2(APS-C)
a6300用に追加購入。モーションコントロールなタイムラプスは、他の機材が重くなるためa6300とSamyang12mmで軽量化を図る。

Sony FE 28mm F2
購入済み。a7RIIで使用。

Samyang 24mm F1.4
Pentaxマウント用を追加購入、今後使用予定。マウントアダプターを使ってa7RIIでも使用可能。

Samyang 12mm F2.8 Ultra Wide Fisheye
購入済みだったが、被写体を選ぶので最近はあまり使っていなかった。今後使用予定。


バッテリー
露光時間を20~30秒とすると、1カットは2~3時間ぐらいの撮影時間が必要です。Pentax K-1ではバッテリー1本で十分撮れますが、Sonyカメラの最大の弱点がバッテリーのスタミナで、バッテリー1本では1時間半から2時間がぎりぎりといったところ。寒さによるバッテリーの性能劣化も考慮すると、長時間撮れるように何らかの対策が必要です。

Sonyの場合、USB給電も可能ですが、モーションコントロールなタイムラプスや連写での撮影も想定すると、USB端子をモバイルバッテリーで占有されるのは、避けたいところです。
ということで、バッテリーを無駄なく使いきるためにも、a7RII用にはVG-C2EMのバッテリーグリップを購入しました。純正のバッテリーグリップが用意されていないa6300には、CASE RELAYの外部電源NP-FW50互換のダミーバッテリーcheero Power Plus3 Premiumを購入して準備万端です。NP-FW50の容量が860mAhに対し、CASE RELAY単体で1200mAh、cheero Power Plus3 Premiumが20100mAhのため、単純計算で約24本分の容量となります。レンズヒーターを併用しても問題なさそうです。
サードパーティー製のバッテリーグリップも売られてますが、リスクは避けました。

星をより目立たせるためのソフトフィルター(Kenko PRO1D プロソフトン[A])も購入しました。ちょっと試してみなしたが、確かに効果があります。ただし、星以外の木や建物も一緒にぼやけてしまうため、星を中心とした撮影で使うことにします。
ソフトフィルターなし
ソフトフィルターあり
この他、レンズの曇り防止のためVixenのレンズヒーター360も購入して一度使ってみましたが、効果があったかは不明です。

機材の準備もできたので、最も重要な、「いつ、どこで撮るか」を考えます。


撮影タイミング
天の川の弱い光を捉えるためにも、月が出ていないこと、薄明が終わって空が暗いことが前提条件になります。
西伊豆スカイラインからの夕暮れ
これは西伊豆スカイラインで、夕暮れを試し撮りしたものですが、撮影開始が16:27で撮影終了は18:32。この日の日没は16:57で、薄明の終りは18:26でした。天文薄明は肉眼で6等星で見えることがが基準のようで、星が見えきっていないのでもう少し待つ必要があります。

天体観測可能時間という、月と薄明を考慮して撮影可能時間を計算してくれるサイトがあり大変便利です。ここで撮影可能時間を確認すると、例えば1月は最大で約10時間、7月になると最大でも6時間半程度となります。一晩で冬は3カット、夏は2カット程度しか撮れません。やはり、カメラは2台で撮影に臨みたいところです。

さて、肝心の天の川ですが、いつどの方向に見えるかは、stellariumという素敵なソフトで、事前に確認できます。冬に見えるのは暗い部分なので、夏の天の川が本命です。
冬の天の川
夏の天の川
薄明までの時間を考慮すると、真夜中には夏の天の川が出てきてほしいのですが、4月頃までお預けです。
立ち上り始める天の川
色々と撮影のタイミングを考えても、当日が雨や曇りでは台無しです。気象庁のGPV情報に、月や木星などの出入りの状況を加えて天文向けに可視化したAstroGPVを公開されている方がいます。大変感謝です。
多少は雲が出ていても絵に変化があっていいのですが、空を覆いつくすようだとあきらめるしかありません。


撮影場所
首都圏では光害により撮影条件が最悪なので、東京や横浜から離れるしかありません。
・撮影機会を逃さないため、金曜の夜にも撮影に向かいたい。
・夜が短い夏場を考えると21時頃には撮影場所に着きたい。
という前提条件だと、横浜から2時間程度で行ける場所が候補になります。いろいろ調べていますが、
・良さそうに思えた箱根周辺も御殿場、小田原、三島に囲まれていて光害の影響を受けやすいので、富士山周辺まで足を延ばす。
・天の川を撮るとなると南の空が暗いことが条件になるので、南を海に面した南房総か南伊豆方面に向かう(ただし南伊豆は3時間かかる)。
・山の方はダム湖の周辺がよさそう。
といったことがわかりました。

重い荷物を担いで野山に分け入るようなことは、体力が落ちた自分にはエクストリームすぎるので、駐車場からの距離等の利便性も考慮して撮影場所を検討中です。
毎年、冬になると雲の出る日が少なくなり寒いことから、タイムラプスの撮影機会がめっきり減り、時間に余裕ができます。今年の冬は、夏の天の川を撮る準備として撮影場所のロケハンを行い、駐車場から近く、車中で寒さがしのげるような場所であれば、撮影を試すつもりです。

現時点での撮影場所の候補を、以下に列挙します。


千葉房総方面
鹿野山九十九谷展望公園
駐車場のすぐそばで撮影でき、南側が開けていて天の川が撮れる。雲海のような霧が有名らしく、朝方になると10名前後の人が訪れていた。一度撮影を試したが、春以降にまた行くつもり。
南方向
西方向、駐車場の前が撮影場所
この日の霧は少な目


八幡岬公園
遊具やトイレがある広場からさらに登ると、広く見晴らしが開ける。南側は全て海なので、ロケーション的にはかなりいい。勝浦灯台をポイントに構図もとれそう。
東方向、勝浦灯台がある
野島崎
城ヶ島と同様に、海岸沿いの岩場でのモーションコントロールなタイムラプスに最適。ちょっとだけ撮影を試した。

有名な白いベンチ
東浪見の鳥居
駐車場の横。現地に行ってみたらサーファーが集まる場所だった。鳥居と天の川を絡めたい。砂埃対策にフィルターを準備したほうがよさそう。


亀山湖(笹地区湖畔公園)
釣り人が訪れる場所。風のない日に水面に星が写ることを期待。公園内の夜間の照明がどうなるかは不明。
南東方向

首都圏中央連絡自動車道(高滝湖PA)
PA内に、おそらく元は山だったと思われる展望台がある。照明などで天の川は期待できないが、車の軌跡と絡めて星を撮ってみたい。
パノラマ

伊豆方面
西伊豆スカイライン
元有料道路。所々にある駐車場や空き地に車が止められるが、街路灯や自販機、トイレもない。富士山方向の眺めが素晴らしいが、夜になると三島市や富士市の街明かりの影響大なので、南方向を狙った方がよさそう。駐車場からハイキングコースを少し登って撮るといい感じに撮れる。
ハイキングコースから、富士山方向の眺めが素晴らしい


この日は雲もあり、街明かりの影響大
伊豆スカイライン
いくつかある駐車場から撮れそう。ちょっと歩くが巣雲山に登って撮るのもよさそう。

天城高原駐車場
天体系の方々が集まる場所らしいので、期待。

稲取細野高原
いろいろ面白く撮れそう。三筋山の風力発電の風車は撮っておきたい。
星景タイムラプスを撮り続けているspitzchuさんの動画。


あいあい岬
横浜からだと3時間以上かかりそうだけど、ロケーションはよさそう。


富士山周辺
パノラマ台(山中湖)
有名どころなので、夕方と明け方前は車が次々とやってくる。鉄砲木ノ頭への登山道を少し登った場所の方が、人もいないので撮りやすい。春先になったら、鉄砲木ノ頭へ登って撮ってみるつもり(30分程度で登れるらしい)。
エコーで軌跡を付ける
車の軌跡と絡めて撮ろうとしたらまともにヘッドライトを受ける位置でちょと失敗。

長池親水公園
駐車場から富士山を間近で撮れる。星のタイムラプスは未撮影。
紅富士

朝霧高原(朝霧アリーナ)
全国育樹祭記念広場
どちらも整備された公園からの眺め。富士山ど真ん中で撮ってみたい。


神奈川県内
城ヶ島
夕方以降は、公園側の駐車場が閉鎖されるため、西側の駐車場に車を置かなければならない。
島の中央付近の馬の背洞門と東端の安房灯台へ行くためには遠回りが必要で、荷物が多いとちょっと厳しい。
かすかに見える冬の天の川

馬の背洞門
起伏に富んだ岩場だらけで、モーションコントロールなタイムラプスに最適。

宮ケ瀬ダム
ロケハンに向かったが、途中でみぞれが降ってきたので、すぐに引き返した。

三ツ石・番場浦(真鶴)
ここも岩場がありモーションコントロールなタイムラプスを試したいが、駐車場からかなり下る必要があり、荷物が多いとちょっと大変。
奥に見えるのが三ツ石

予備
菜の花台(ヤビツ峠)
秦野の街明りの影響を受けそうだが、展望台の形が面白いので撮っておきたい。
星ヶ山公園(さつきの郷)
観測会も行われているようなので、たぶん大丈夫なはず。
雷電廿六木橋(秩父)
素敵なループ橋を星を背景に魚眼で撮りたい。


撮影
これまで、城ヶ島、鹿野山九十九谷展望公園、山中湖(パノラマ台、長池親水公園)で3回撮影の撮影を試しています。
まずは様子見ということで、基本設定は、絞り開放、ISO3200、焦点距離が14mmや15mmの場合は20秒、28mmの場合は15秒で撮影しています。
撮影中が不安なため、撮影途中の状況がLVで見えるように、SonyのタイムラプスアプリとK-1のインターバル撮影の設定は、1、2秒のマージンを持たせた撮影間隔にしました。しかし、LVでは残りの撮影枚数や撮影時間は確認できるのですが、ごく一部の明るい星が見える程度で、表示させてもあまり意味がないため、今後は連写で撮影する予定です。
ちなみに、Sonyのタイムラプスアプリでは「撮影間隔優先」を「切」にして、撮影間隔をシャッタスピードと同じにすると連写が可能です。また、Pentax K-1は「インターバル撮影の動作」で「撮影待機時間」を設定しておくと、インターバル撮影の間隔設定で「最短」が選択でき、ほぼ連写状態にできます。

ちょっと手がかかるのが、夕暮れから夜にかけた撮影です。
Sonyの場合、
・ISO AUTOの上限をISO3200にする。
・「ISO AUTO低速限界」の設定でISOを変更するシャッタースピードの閾値(例えば15秒)を設定。
・暗くなると適正な露出が得られないため、タイムラプスアプリの「撮影間隔優先」は「切」に設定。
として、絞り優先、撮影間隔20秒で撮影を開始します。
絞りはF11で撮影を開始しますが、明暗差が大きく、撮影の後半になるとISO値がどんどん上がり始めるため、ISO800程度を目安に、絞り環で絞りをF11→F8→F5.6→F4→F2.8と変更しています。
なお、ISO値の上限としたISO3200まで到達したため、最終的なシャッタスピードは25秒となっていました。
LRTimeLapseのプレビュー画面で、後半ののこぎり状の部分がマニュアルで絞りを変更したところで、多少ちらつきは出てしまいますが、気にならない程度に補正できます。

現像と編集
これまでのタイムラプスでは、ISO3200といったような高感度は使用してこなかったので、ノイズの処理や各パラメータの調整など、LONELY SPECKを見てまだ試行錯誤中です。なかなか印象的な絵になりません。
編集ではいくつかエフェクトを加えています。
ミラー

エコー

StarStax

撮り始めたばかりなので、もっと撮影経験を積みたいところです。また、Pentax K-1のアストロトレーサを使用した長時間露光等も、今後試していきたいです。

starry night 2016



camera:SONY a7RII
camera:SONY a7S
lens:Samyang 14mm F2.8
lens:SONY FE28mm F2
camera:PENTAX K-1
lens:irix 15mm f/2.4 Firefly
camera:SONY RX100M4
music:No Regrets by K4MMERER(https://www.jamendo.com/track/977081/no-regrets)

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